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2009年08月27日

夢みるように夢をみる(少年王者舘『夢+夜』)

ちょっと日が経ってしまったけど、先週の土曜日、下北沢のザ・スズナリで、少年王者舘第33回公演『夢+夜』(作・演出:天野天街)を観てきました。

これは随分前から楽しみにしてたんですよ。いやー、面白かったねえ。『夢+夜』で「ゆめたすよる」。もちろん、夏目漱石の『夢十夜』をもじっているわけだけど、内容はそれとは全然関係なく、とある古びた駅の待合室(展開の中で、部屋やダンスホールにもなる)で繰り広げられる、あれやこれやのイマジネーション。基本軸としては、主人公が観ている夢というのが大きな舞台であり、その主人公と女性のカップルの切ない挿話が中心に置かれ、そこから少年時代の憧憬、悲惨な戦場、こうあればよかった的仮想空間などが読み取れるのだけれども、とにかく増殖するように広がって行く奔放なイメージは、まさに「あれやこれや」であって、無限なる夢幻。ループする物語、言葉遊びを基調とした連想、カオスな世界が、映像や音楽に彩られながら、留まることを知らずにダーッと流れていく。

流れるように観られるポイントとしては、少年王者舘の手法のひとつである「前の台詞の最後と次の台詞の最初が同じ文字で、それを重ねて発語する」ことによって、あるシークエンスの中のすべての会話がひとつの台詞として連なっていくというのがある。その際、それぞれの語句がすべて明瞭に聴き取れるわけじゃないんだけど、でもいいんですよ、別に。メタな手法としては、途中、主人公がいなくなり、後から客席後方から再登場してくることで、客席の視点と主人公の視点が同期していた(同じ夢を観ていた)ことに気付く趣向も取られている。途中に挟まれるユニークなダンスシーンも至福。冷静に考えりゃ、なんで急に踊り出すのかよくわからないわけだが(ラストのダンスホールのシーンは別)、通常ならミュージカルの類を「ケッ」と思う僕も、これは例外、もっと踊って!って感じ。大体が、よくわからないなんて言ったら、この芝居全体がそうなんであって、台詞、映像、ダンス、シークエンス、どれを取っても、「物語」というより「イメージ」そのものの提示であって、それの集合体を僕らは観ていたんだな。舞台狭しと登場するたくさんの人物にしたって、ほとんどがパンフレット見なけりゃ名前も分からない「擬人化されたイメージ」みたいなもんで、言ってみればすべてが主人公そのものなんだから。

だからね、ぶっちゃけ、意味なんていいんですよ。常々思うんだけど、テーマとかメッセージなんて、下手に設定してしまったら、作品世界の枠を狭めてしまうだけなんだから。それよりも、純粋にひとつポンと浮かんだイメージから連想ゲーム的に転がって行き、解体し、ループによってくっつけたりして形成された幻想的世界の方が、よっぽど豊かだし、陳腐な表現だけど、言葉に出来ない面白さがある。

観劇中はとにかく楽しくて、このまま永久に芝居が終わらなければいいのにとすら思えました。そう思える舞台ってなかなか無いよ。
posted by 晴居彗星 at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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